ホスホジエステラーゼは、cAMPやcGMPという生体内の物質を分解する酵素です。cAMPや
cGMPは、体内で様々な役割を持っています。たとえば、脳血管拡張、抗血小板作用(血が固ま
りにくくする作用)、気管支の平滑筋を弛緩する作用などです。そして、ホスホジエステラーゼ阻
害薬(商品名:ケタスなど)は、cAMPやcGMPが分解するのを防ぐ事で濃度を高め、その作用を
強めます。従って、この薬によって、慢性期の脳梗塞におけるめまいの改善や、気管支喘息の発
作の予防が期待される事になっています。
cAMPとcGMPは、細胞のなかでATP、GTPから産生される物質で、前述のとおり、多彩な役割を
担っているとされています。そして、その役割のなかに、脳血管のことや、気管支のことなどが含ま
れているために、これらの物質を増やす薬は、めまいにも、気管支喘息にも効くということになります。
そのようなわけで、ホスホジエステラーゼ阻害薬はちょっと不思議な薬です。そして、その作用が多彩
であるため、いろいろな可能性を秘めているとも言えると思います。
by 井上