今年は、例年にくらべて、新しい作用機序による新薬が多く発売されている感じがします。
まもなく、いままでの仕組みとは全く異なったしくみの睡眠導入薬が発売されます。
ラルメテオン(商品名:ロゼレム)は、メラトニンと似た作用によって、不眠の改善をします。
今までの睡眠導入薬とはしくみが違う上に、当然ながら使用経験の無い薬ですので、
どのような効き方をするのかは、未知数です。しかし、副作用が少ないという特徴は
ありそうですので、昼夜が逆転してしまうような人など、睡眠サイクルのみだれがある
人には効果が期待しやすいかもしれません。
ほとんどの睡眠導入薬は、緑内障(閉塞性狭隅角緑内障)の患者様には使用が困難で
す。それは、緑内障が悪化する可能性があるからです。(※緑内障にはいくつかの種類
がありますが、眼科の先生から大丈夫、と言われている場合は大丈夫でしょう。)今回発売
されるラルメテオンは、緑内障に使ってはいけないとの記載はありません。やっと緑内障の
患者様にも使える睡眠導入薬が出たか、と本当に喜んでおりました。が・・・
フルボキサミンマレイン酸塩(商品名:ルボックス・デプロメール)という、うつ状態などに
使われる薬との併用は禁止されました(禁忌<きんき>といいます)。これは薬を処方する
側から言えば、とても残念なことです。この2種類の薬を併用すると、作用が強く出てしまう
おそれがあるため、このようなことになりました。
とはいえ、睡眠のリズムを調節しているといわれるメラトニンの作用と同じ仕組みの薬と
いうことで、非常に期待される薬であることには違いありません。医師の間でも注目度が
高いようで、熱心な討論が行われました。
この薬は7月から使えるようになる予定です。
by 井上